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日本でわずか3社のみが認定。世界基準での「信頼」とは
July 26, 2019
4℃が「責任あるジュエリー協議会(RJC)」に認定されていることをご存知ですか?世界ではカルティエやティファニーなど世界的に有名なジュエリー企業を含む多くのグローバル企業がRJCに認定されていますが、日本では僅か3社のみ(2019年7月現在)。この記事ではRJC認定を取得した理由やRJC監査の内容をご紹介します。
「品質」と「取引」に責任を持つ企業として
今回取材したのは、経営企画部の森山美里さん。RJC認定時に組織加盟から監査準備や監査対応までを担当した彼女に、認定までの経緯や4℃の社会的な取り組みについて聞きました。
「責任あるジュエリー協議会(RJC)」とはどんな組織ですか?
RJCは2005年に、カルティエやティファニー等、世界を代表する有名ジュエリー企業及び団体14社が中心となって設立された国際的非営利団体です。ダイヤモンド・ゴールド・プラチナなどを取り扱う宝飾業界を対象に、取引の透明性や環境・倫理面の取り組みに対して、あるべき方向性を示し宝飾業界の発展を目指しています。
世界では名だたる企業が加盟しているのに対し、日本ではあまり知られていませんよね。
そうなんです。世界では約1,100社以上が加盟しています。
実は、加盟から2年以内に国際規格に基づき定められた厳しい監査基準を満たした企業のみが「RJC認証」を取得することができるのですが、日本では2019年7月時点で当社を含めて3社のみが認証を取得しています。
4℃がRJC認証の取得を目指した背景を教えてください。
社会が求める企業の果たすべき責任への関心の高まりを実感したことです。
企業は売上や利益の追求だけではなく事業を通して環境・社会面の課題にも目を向けて解決するために取り組みをすべきだと考えているので、RJCの理念に共感することが多く、是非加盟したいと感じたんです。
また、手前味噌な話ですが、国内のジュエリー業界におけるリーディングカンパニーとして、当社が「企業が果たすべき責任」を真摯に推進してきたという自負があったんです。
例えば、当社の製品に使用しているダイヤモンドは全てキンバリープロセス(※)を順守していますし、出来上がった製品は100名規模の人員が貴金属の分析やダイヤモンドの識別を科学的な手法で行っています。
※キンバリープロセス・・・ダイヤモンドの原石を取引する際に、原産地の証明書を添付すること。不正に取引されたダイヤモンドがテロや紛争の資金源になっている地域からの取引を排除することを目的に締約国間で本規制が設けられた。
企業としての社会的責任を推し進めてきたからこそRJCに共感したのですね。
はい。環境負荷の低減もそうですが、倫理面においては、事業に関わる全ての人の人権、安全、健康を維持・促進するために常に考え対策を行っています。
当社の事業活動を通して品質・取引・環境・倫理面において責任を果たしてきたことや、これからの宝飾業界の発展と持続可能な社会の実現を目指すためにこれからも企業の責任を果たしていく決意を、我々を取り巻くステークホルダーに分かりやすい形で発信していくために取得を決断しました。
最初にお話いただいた国際規格に基づき定められた厳しい監査とは具体的にどんな内容でしたか?
RJC認証を取得するためには、RJCが認定する第三者監査機関による監査によって国際的な規格に基づいて定められたRJC基準をすべて満たす必要があります。項目は法令順守やサプライチェーン、人権等6項目、100設問以上で構成されています。
さらに、本社に3日、相模原のジュエリーセンターに1日、店舗に1日の監査が入り、20名のスタッフにヒヤリングも実施されます。ヒヤリングは様々な部署や異なる雇用形態のスタッフから選出され、私達も本人も当日知りました。
監査対象となった納品伝票の一部。キンバリープロセスを順守したダイヤモンドを仕入れているかなどのエビデンスに。
抜きうちのヒヤリングで働く環境にも監査が入るんですね。回答を準備するだけでも時間と労力がかかったのでは?
加盟から最大2年間の準備期間が設けられていますが、当社は加盟から半年で監査を受けて合格できました。各部署の連携がスムーズにできたこともありますが、世界が求める水準を満たしている企業として認められたということで、これまで当社が取り組んできたことがグローバルスタンダードを満たしていることは大変誇りに思いますし、自信にもつながっています。
3年に1回、全く同じレベルの監査が入るので、維持ではなく向上させなければならないというプレッシャーはありますが、ダイバーシティーの尊重をしているか、差別や反社会勢力との関係がないかなども厳しくグローバルな基準でチェックされるため、ジュエリーの品質へのこだわりはもちろん、企業の仕組みをさらに改善することにつながると思っています。
部署や雇用形態を超えてまさに全社でのプロジェクトだったと伺いましたが、取得後に社内の変化はありましたか?
認証を取得してから、社員への理解浸透を目的に勉強会の開催や社内報への掲載、会議の場でのプレゼン等、周知を徹底していますが、社員からも質問や意見等、声が聞こえてくるようになり社内の関心の高さは想像を超えるものでした。また、お客様へ伝える工夫が提案されたり、活用等、具体的に企画も出始めていて、良い循環が生まれています。
お客様からの反応もありましたか?
4℃のほぼ全ての店舗にRJCの盾を置いて、接客の中でもご説明しています。お客様から共感いただき、実際RJC認証を取得しているからという理由でご購入いただくケースもあります。当社の取り組みにご理解いただけたことは大変うれしく、また改めて社会からの注目の高さも実感しています。
水に深い関わりと共感を持つ4℃の社会貢献
社会貢献にも4℃ならではの取り組みがあると聞きました。
4℃というブランド名は、氷が張った水の底の温度を表し、唯一魚が生息できる安息の場、うるおいそのものを意味しています。
「水のようでありたい」という想いのもと誕生以来、ジュエリーを通して、常に新しさとうるおいをもたらす商品の提案を続けてきました。
もっとたくさんの女性へ、「美しさ」と「ときめき」を届けたい。世界中の女性たちを、輝かせたい。その為に当社にできることは何かを考え、国内外の水問題の解決のために活動する日本水フォーラムと共同でアクアプログラムを2008年に立ち上げました。
「アクアプログラム」の具体的な活動内容を教えてください。
はい、途上国の中には安定した飲み水を確保することが困難な地域があります。その地域に住んでいる人は、飲み水を確保するために往復30分以上かかる場所まで水汲みに行くんです。また、その汲み場も川や池、湖等でそこは牛や鳥も使う場所なので決してきれいとは言えません。なので、水に起因する下痢や病気になり治療や薬代にお金がかかる。負のサイクルに陥っています。
一番効率的で安定して水が確保できるのが雨水ということを知って雨水貯留タンクの設置を2008年からキリバス、スリランカ、バングラデシュで行っています。また、設置するだけではなく維持と管理ができるようにその地域の団体と協力して活動しています。
この活動資金の確保また、取り組みの認知拡大のために毎年フェアを開催していて、フェア期間中の売り上げの一部をアクアプログラムの活動資金にしています。
雨水タンクの蓋には4℃ロゴが刻印されています。
持続可能な取り組みという事が大切ですよね。
そうですね。当社では、創業から脈々と受け継がれている「まっとうな経営」という言葉があり、嘘をつかない・ごまかさないというのが企業のスピリットとして根付いています。RJC、アクアプログラム以外にも商品を照らすための照明をLEDに全て変更したり、リサイクルペーパーの使用、クールビズなど、当たり前のことを当たり前に持続する事が大切だと思っています。
今後もお客様・株主様、取引先へ当社のモノを作るにあたっての背景やプロセス、取引の透明性や品質に対する誇りを感じていただき、皆様とより強い信頼関係を築いていきたいと考えています。