CSR 2022年の活動報告

2022年度もアクアプログラムでは、深刻な水問題に直面するバングラデシュの水供給を改善する活動を行いました。 プロジェクト内容 バングラデシュの南西に位置するモレルガンジ郡は行政による水道サービスがなく、人々は池や井戸の水を利用していますが、水質が良好ではなく、特に飲み水の確保が困難な状況です。
アクアプログラムでは、雨水を利用して安定的かつ安全な飲み水を確保するため、2016年度より毎年この地域に雨水貯留タンクを設置、また、意識啓発や維持管理トレーニングを実施する活動を行っています。
この活動により、住人たちは安全な飲料水を手に入れることができ、水に起因する病気の治療代の軽減、女性や子どもたちの水汲み労働の削減につながっています。
2022年度は合計80基の雨水貯留タンクの設置を行い、モレルガンジ郡の住人175名に対する水供給の改善に貢献しました。

実施地 : バングラデシュ (クルナ管区バゲルハート県モレルガンジ郡)

実施団体 : Skywater Bangladesh(SBL)

現地の声


夫はトラック運転手をしていますがその収入は十分なものではなく、家族5人で大変苦しい生活を送ってきました。生活に必要な支出に加えて、子供たちの学校費用を工面することも難しかったけれども、何よりも大きな問題は安全な飲み水の確保でした。

もともと生活が苦しかったため当初はアクアプログラムへの参加を積極的に考えておらず、一日二回、子供たちと遠くの池へ水汲みに行っていました。それは日常的なことでしたが、毎日水を汲んでくることはとても大変で、子供たちに勉強する時間を与えることも出来ませんでした。また、その池の水は汚れていたため、家族はいつも不衛生な水による病気かかっており、医療費の負担も大きなものでした。

そんな日々を過ごしていたある日、自分の子供たちが水汲みに行っている時間に、隣人の子供たちは勉強していることに気付きました。これまでは誰もが水汲みに行くことが当たり前でしたが、昨年アクアプログラムに参加した隣人は水汲みに行くことがなくなりました。これによっていろいろと考えさせられるようになりました。

隣人に話を聞きに行くと、水汲みをやめただけでなく病気も大いに減ったということがわかりました。池の水は屋根などの遮るものがないためたくさんの隠れたばい菌に汚染されやすく、安全ではないというのです。水系感染症から家族を守るためにもアクアプログラムに参加するべきだと気持ちが傾きはじめました。隣人のすすめにしたがって実施団体に連絡をとり、アクアプログラムに参加するためには何が必要か説明を受けました。負担金を用意する必要があると知ったときは少しもどかしく感じましたが、家族全員の健康のためにはアクアプログラムに参加し、雨水貯水タンクを設置しなければならないと考えなおしました。
担当者に、負担金の用意に不安があることを相談すると、「4°C」と書かれた青いポーチを渡され、このポーチに少しずつお金を貯めておくように言われました。
言われた通り、家計からお金を貯めはじめると、6~7ヶ月で負担金を用意することができ、2022年のアクアプログラムに参加することができたのです。



私の夢はようやく叶いました。いま私は2つの雨水貯水タンクのオーナーです。私たちも水汲みに行かなくてすむようになり、私の子供たちも勉強する時間ができたのです。安全な水が飲めるようになったことで、家族は病気にかからなくなります。今の私ほど幸せな人はいないでしょう!

バングラデシュについて
バングラデシュについて
  • 面積147,000平方キロメートル

  • 人口約1億6,935万人(2021年)

  • 首都ダッカ

  • 民族ベンガル人が大部分を占める

  • 言語ベンガル語